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結婚に対する意識の変化

 ライフシフト第9章人間関係の変化について考え始めた。まずは一番身近な家庭についてだ。家庭を築く根本にある「結婚」についてどのように考えたらいいのだろう。

 この本では、三つの世代を取り上げて分析している。1945年生まれのジャック、1971年生まれのジミー、そして1998年生まれのジェーンだ。この本が発行された年に遡って年齢で整理すると、第1世代のジャックは75歳近辺の老年期、日本のベビーブーム世代ぐらいだ。第2世代のジミーは、45歳から50歳ぐらいの中年期世代。そして第3世代のジェーンは、20歳前後の青年期終わり近くとしよう。

 どの世代も結婚に求めるものはもちろん愛する人と家庭を築き、支え合って充実した人生を送ることだろう。ジャックの時代は、戦後の高度成長期でもあり、昇任を目指してひたすら働き、子育てや地域との付き合いはほとんど妻が受け持つ時代だった、定年を迎える頃は、子どもたちも新しい家庭を持ち、平均寿命の70代後半ぐらいまでの老後を過ごす年金や貯金に恵まれていた。

 ジミーの世代は、高度成長期も終わり、就職氷河期とか、リーマンショックというような生活を安定させることに必死になる時代。平均寿命も80代後半にまで伸び、老後の資金に対する不安も増大。その上、夫婦の家庭生活に対する考え方の違いが離婚という形で閉じる割合が多くなった。

 ジェーンの時代は、人生100年時代と言われるようになり、さまざまな選択肢をどのように組み合わせていくかマルチステージの生き方を慎重に模索する時代になる。20歳代で旅をしたり起業したりと可能性を探る中で、結婚にその選択肢を狭められることに慎重になり、家庭と仕事の両方の路線をうまく走らせるか、遅い結婚を選ぶことも多くなる。

 この20世紀後半からの70年余りを見ただけで社会の状況や人生観の変化が大きく、結婚そのものに対する考え方も多様になってきている。家庭のあり方で揺れ動くジミーの世代は、自分の生き方を通して離婚するか、どちらかが我慢して過ごすか不安は尽きない。それよりも少し下の世代になると、離婚率が下がることからも分かるように、互いに主張を擦り合わせ、互いに協力し合うことの大切さに気づいてきている。そしてジェーンの世代は、結婚がいくつもある選択肢の一つで、バランスよく組み合わせていくことに努力するようになる。

 夫婦が相手に対して求めるものなどをさらに深めて見ていこう。