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人生スタイルの多様化

 長寿化の中で、人生のスタイルもいろいろなパターンが出てくる。夫婦関係一つ見ても、子育てに追われる時期以外の期間が長くなり、さまざまな生活の変化を経験することになる。破局を避けるために、これまで以上の状況に即した柔軟な対応が求められる。離婚と再婚を繰り返し、まるで相手を取り替えることで人生の変化に対応する人もいるようだが、それは解決ではない。終局には誰も味わったことのない寂しさが待っている可能性もある。

 また、原因はさまざまだが片親家庭も多い。コロナ禍で子どもだけで長い時間家で過ごすことになった厳しさは、社会問題となった。2、3世代同居かどうかも大きな差を生むが、核家族化と言われる家庭環境の変化も見つめなくてはいけない。

 少子化と言われるように、家族の子どもの数は減るが、祖父母や曾祖父母の数は増える。いい意味で支え合えると子どもの育つ環境は安定を増す。一人の子に六つの財布と言われるが、学校で行事をすると、一人の子に、両親とその祖父母4人が参加することも珍しくない。

 シニアの時代が長くなる中で、夫婦もそれぞれの趣味や友人関係を持ち、それぞれの生活を過ごすことも多くなっている。女性の社会進出も夫婦関係のあり方に大きな変化をもたらせている。

 マルチステージでいろいろな仕事に移っていく中で、私生活への影響も大きい。仕事と家庭の境界で何が起き、多世代の間で何が求められるのか見つめていこう。