お金に関する知(金融リテラシー)を高めることが大事と前回まとめた。そしてその先にあるのは、「それを実行するのは自分だ」ということだ。「とりあえず」とか「なんとなく」は甘いと思っているが、日々の中で当たり前にやっている。3月2日のブログで1週間後の105ドルを待てずに今の100ドルに手を出してしまう話をしたが、未来の自分に対する責任をもつことはなかなか難しい。(現在バイアス)
100年ライフを幸せに生きたければ、長い人生を通じて一つのアイデンティティを確立し、未来の自分と現在の自分を結びつけて考えることが不可欠だと本ではまとめている。それに関する実験が面白い。
被験者たちに1000ドルのお金が棚ぼたで入ってきたと想像させ、四つの使い道を示した。「大切な人のためにプレゼントを買う」「引退後に備えて貯金をする」「そのお金で楽しく贅沢な時間を過ごす」「とりあえず普通預金に預ける」の四つだ。
あなたはどうだろう? 上の105ドルの例のように「現在バイアス」が働いて、今すぐお金を使いたい傾向は強いようだが、“行動ナッジ(背中を軽く押す)”として、あるグループにはデジタル処理した被験者の老いた自分の顔を見せた。そのグループは見せていないグループに比べて将来のために貯金する金額が2倍以上多かったそうだ。
お金に対する自己主体感が大事だが、そのためにも未来の自分をイメージして今やるべきことを考えることだ。年配者は経験や知識は豊富だが、分析能力は減退し始める。40〜50代の判断能力が高いうちに将来の資金計画を練っておくべきだろう。