ガリヴァー旅行記に登場する生物ヤフーは、最後の旅でたどり着いた高貴な馬(フウイヌム)の支配する国で出会った醜悪な生物の名前だ。与えられた食べ物を独り占めにしようとして争ったり、生きるために役に立ちそうもない金色に光るものを奪い合うような生き物として表現されている。もちろんこれは人間への風刺だ。
インターネットの代表的なポータルサイトで誰もが知っているYahoo!は、その名前をヒントにできたようだが、ライフシフトでは、その意味を「選択肢を維持し続けるヤングアダルトたち(Young Adults Holding OptiOnS)」としている。
人生100年時代を生きる若者世代は、自分にとってどんな選択肢があるのかを探し続け、つくり出すことに腐心する。人生の道筋を確定させることを先延ばしし、柔軟性を維持することに心を配るのだ。思春期のままの状態を長く保ち続けるように見える。
父母・祖父母世代からすれば、いつまでも責任を持たず気楽に波に乗ってなんとなく過ごしているように思えたり、早く就職して安定した生活をできるのに、いつまでも出来もしない夢を描いているように思えたりなどなど、不安な世代に見えるのだろう。
しかし、若者世代からすれば、長い人生を送るのに、より良い可能性、自分の価値をしっかり探求して何がいけないのだと反論するだろう。それが“YAHOOS”なのだ。
生涯現役とか、エイジレス社会と言われる現代、上に書いたことは他人事ではない。シニア世代にとって、残された長い人生(かもしれない)をどう過ごすか、なんとなくでは済まない時代になってきている。私のように退職し、自分で選択肢を選ぶ立場を選んだシニア世代にとって今は自分が“YAHOOS”なのだ。