ライフシフト第6章の最後は、「ポートフォリオ・ワーカー」だ。これまで述べてきたように、エクスプローラーとしてさまざまな可能性を探したり、インディペンデント・プロデューサーとして自分の選択した分野に挑戦したりと人生のステージを経験する。そして複数の活動に同時並行で取り組む時期もある。そんな異なる種類の活動を同時に行うのが「ポートフォリオ・ワーカー」だ。
さまざまな活動に魅力を感じ可能性を探索するために自らこのステージを選ぶ人もいれば、やりがいのある仕事に就けなかったり、それだけでは人生の歯車を回せないために仕方なしそれを選ぶ人もいる。
年齢的な時期については様々だが、ある程度人生の土台を築いた人たちに望む未来を聞くと、所得の豊かな生活だけでなく、地域社会への貢献や親戚の力になったり、趣味の世界で秀でたものを経験したいなど、複数の活動のバランスの取れた生き方を求める気持ちが強いようだ。
私自身にとってもそんな活動を避けて通れない現在の状況なので他人事ではない。区の役員、退職校長会の理事、所属する合唱団は指導者や運営の責任者。他にも市や県の組織の運営協議委員など、幾つも受けている。
このようなポートフォリオ型の人生は、多くの人と関わり、いろいろな貢献的な役目を果たし、社会的存在感を味わうことができる。そういった立場に立つ人たちは、長年勤めた社会で、単に稼ぐだけでなく、人をまとめ育むリーダー的立場にいた人たちが多いのだろう。その経験を買われというか活かして、別な活動でも頼りにされているのだと思う。趣味の世界でも、楽しむだけでなく、自身の向上に力を入れ、その延長で他の人の支えとしても頼りにされるのだろう。