「ライフシフト」第6章「新しいステージ‥選択肢の多様化」今日からの話題は、“インディペンデント・プロデューサー”だ。旧来の“起業家”とは違う性格を持つものとして、著者は「独立生産者」という意味でこの名前を使っている。永続的な企業を起こしたり、事業を成長させて売却することを目的にしていない。活動自体を目的にしており、とても短期的であったり、実験的であったりする。重要なことは、試行錯誤を繰り返しながら、何が有効で何がうまくいかないかを学び、未来を探索していくのだ。
私も「趣味起業」という言葉に惹かれて、この研究室を作り、学び続けることやそれを発信する活動を続けている。講演会や公民館講座の指導、いくつかの組織の運営協議委員などもしている。勤め仕事を辞めて独立したかった。あとどのくらいあるかわからないが、データ的には20〜30年近くあるシニア時代を組織にとらわれず自身の責任のもとで行いたかった。人に雇われているうちに時がたち、社会から必要のない状況になってから、さて何をしようかと考えたくなかった。
そんな自分のことを考えても、独立生産者の「組織にとらわれず素早く実験する」ということがとても良いことだと思う。講座をやっても、組織の一員として与えられたことをやるのではなく、自分の研究のもとに自分で企画案を練ることができる。無理だと思っていたホームページ運用やブログ発信も一人でできる。教育現場にいたときはほとんど目を向けることのなかった資産形成も、投資信託や株式投資の本だけでも10冊以上読み、試行錯誤中だ。営業マンに相談・指示されるのではなく、全てネットを通して自己判断でやっている。
儲けることより今は、試行錯誤しつつ知識やスキルといった無形資産を充実させている時期なのだろう。中身の問題なのだ。部屋を改造して、学ぶ環境や人を呼んで教育相談する場も用意したが、合唱団の役員さんたちが会議をするために集まってくれた時、会長さんは、「普通の家なんだ」と言っていた。「研究室」というから会社のようなビルを想像していたのだろうか。その辺りも「起業家」とはイメージが変わってきているところだろう。