昨日は、重唱コンクールを立ち上げた40歳代の事例を通して、「自分についての知識を持つ」ことの重要性を説明した。なぜそんな取り組みにやる気を燃やせたのかを振り返ってみると、私は教員として生徒たちと合唱を楽しむとともに、学生時代から一般社会人たちとアマチュア合唱に熱心に取り組んできた。教師として合唱を見つめるだけでなく、一人の合唱を愛する演奏者としての視点や大勢の仲間がいたことが大きい要因となっていると思う。
昨日も最後は、「そういう人は仲間を大事にし、信頼され、一人ではできないことを支えてくれる人間関係に恵まれるなど、無形資産をたくさん持っている」とまとめた。ライフシフトの本では、「変化を遂げるための有益な情報」は、「緊密な関係にない知人」から受けることが多いと言っている。例えば、私にとって緊密な関係にある教員仲間は、お互いに持っている情報の共通項が多いはずだ。むしろ「弱い絆」の仲間から新しい視点での情報を得やすいというのはわかる気がする。「多様性に富んだ新しい人間関係」を日頃から大切にしているべきだろう。重唱コンクールも仲間の音楽教師からは、「学校の仕事とは違う余分なこと」と受け止められたのだろうが、合唱仲間からは「そういう少人数の響き合いの経験は合唱の本当の楽しみを育てることになるね」と認められるという違いがある。
私が大学生時代、高校の合唱班の先輩から「長野に新しい合唱団ができる。今までとはスケールの違う世界に挑戦できそうだ」と誘われ入団した。100人を超す本格的な市民合唱団で、地域で合唱活動の中心的な役割を担う人たちの協力のもとできた合唱団だった。自分のバスのパートだけでも20人を超し、私とは親子ほど歳の上の人もいたが、なんと一番若い私がパートリーダーを引き受けることになった。
高校の合唱班OB会の事務局長、大学の合唱団の指揮者、市民合唱団のパートリーダー、本当に大勢の人たちと活動をともにすることになった。中でも世代や全く職業も多種にわたる社会人との交流は大学の授業以上に刺激が多かった。そんな多様性に富んだ人的ネットワークがそれからの私の人生にとって大きな「変身資産」となる財産となった。その辺りはとても面白そうな話題となりそうだ。