「自分についての知識は、変化を遂げるための道筋を示すことに加えて、人が変化を経験しながらもアイデンティティと自分らしさを保てるようにする役割をもつ。自分についてよく理解している人は、人生に意味と一貫性をもたせる道を選びやすい。」
この文章は、「ライフシフト」(東洋経済新報社)のP163からの抜粋だ。三つのカテゴリーを読み解く中で、ずっと私が思っていたのは、「一貫性」という言葉だ。「変身資産」というと、何か冒険心でまるで知らない新しい世界へ飛び込んでいくようなイメージを持ってしまうが、そうではないと思う。
多くの人のライフストーリーを見つめた時、成功した人に共通するのは「自分らしさ」に強い思いを持ち、それを土台にして新しい扉を開けるエネルギーを高めることにあると思う。一見未知の世界に挑戦しているようだが、その根本に「一貫性」があると思う。そのように一貫性に支えられた人生を送るためには、「継続性」(自分の変わらない要素はなんなのか?)と「因果関係」(自分に起きたどの出来事が原因で変化が起きたのか?)の両方の要素が欠かせない。自分についての深い知識を持つことを忘れてはいけない。私が長野市児童合唱団やアマチュア合唱に賭ける思いは、昨日の重唱コンクールを立ち上げたような出来事や自分の教員として目指し続けた変わらない要素があったからだと思う。
これまでのブログで、いろいろな学問的な知識を紹介するだけでなく、私自身の経験を絡めて発信してきたが、それが私自身にとっても「自分を深く見つめ」「一貫性」を確認する良い機会となったと思う。このブログを読んでくれる皆さんは、そういった自身の内省的な振り返りに関心のある人たちだと思う。そこに人生を通して守り続ける大事なポイントがあるように思う。そういう人は仲間を大事にし、仲間からも信頼され、一人ではできないことを支えてくれる人間関係に恵まれるなど「無形資産」をたくさん持っているのだろう。