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一緒にいて安心できる人間関係の質

 無形資産の価値を値段に換算することはできない。しかし、人生におけるその価値は、文学や宗教、心理学などさまざまな分野で研究されてきている。生き甲斐のある幸福な人生を送るために必要な条件は何なのだろう。

「ハーバード成人発達研究」は、75年以上にわたり、二つのグループにおける心と体の健康を追跡した。一つのグループは、ボストンで育った貧しい男性456人。もう一つは、ハーバード大学を卒業した男性268人で、大変な人材と予算をかけて行われた。(詳細は、「700人を75年間追跡した研究からわかった「幸せな人生を送る秘訣」ライフハッカー[日本版]を参照してほしい)

 75年に及ぶこの研究が明確に示しているポイントは、「よい人間関係が私たちの幸福と健康を高めてくれる」ということ。自分の社会的地位や資産、どれだけ多くの知り合いがいるかということも大事かもしれないが、最大の要因は、基本的には「愛」なのだ。頼れる人がそばにいると、神経系が緊張から解放される、脳の健康が保たれる期間が長くなる、心と体の苦痛が和らぐなどの効果があることを、この研究は明らかにしている。逆に、孤独を感じている人は肉体的な衰えが早く短命である傾向が強いことも示している。

「大切なのは、友人の数ではありません。交際相手がいるかどうかでもありません。身近にいる人との人間関係の質なのです。」と研究の中心にいた教授は言っている。人間関係の質とは、「人間関係の深さ」がどのぐらいあるかで、「お互いが一緒にいてどれくらい安心できるか?」「どれだけリラックスして、お互いが本当の自分を見せられるか?」そうしたことが重要なのだと説明している。

 そして、その基礎となる要素が二つある。一つは「愛」もう一つは「愛を遠ざけずに人生に対処する方法を見つけること」なのだ。愛を大切にし、その愛に安心して向き合っていける環境を守り整えていかなければならない。