自分と社会を見つめる科学 その43

 人生100年時代は、“マルチステージの人生”へとシフトすると言われている。私のようなシニア世代は、大学卒業し就職して新人の時代を過ごした20代ぐらいでつかんだ経験・能力で、なんとか60代まで仕事をこなすことができた。しかし、今大きな変革の時代が迫ってきている。子どもたちの多くが、自分が生まれた時には存在しない職業に就くとも言われている。先週からブログで、成人期になってからも学び続ける場が必要で、自身のアイデンティティーを更新し続けていくことが必要だ書いてきた。

 そんな時代の変革の速さについて、東洋経済出版の「100年時代の人生戦略(ライフシフト)」に面白い記事があった。

「ある王様が娯楽に飽きて、国民に呼びかけ、新しい娯楽を募った。寄せられた中にチェスの原型となるゲームがあった。このゲームが気に入った王様は発明者に対して、なんでも望みの褒美を与えようと言った。すると発明者は米を所望した。チェス盤の1マス目に米粒を1粒、2マス目に2粒、3マス目に4粒、4マス目に8粒……という具合に置いていき、盤上に置かれた米粒を全ていただきたいというのだ。コンピューターの処理能力が2倍に増えるように、米粒の数は、マスが一つ進むごとに2倍に増える。王様は願いを聞き入れたが、まだチェス盤の前半、30マス目に届かないうちに、国家の米の蓄えが尽きてしまったという。」

 どうだろう。王様が発明者の要望に応えるためには、エベレストより大きな山になるほどの米粒が必要になるというのだ。今の社会の変化は、このように想像のつかない展開になる可能性があるというのだ。

 今日私は、午後体調が悪く不整脈が頻繁に出た。自分のはめているアップルウォッチで心電図をとると、確かに脈が乱れていた。以前持っていたアップルウォッチは、心拍数は測れたが、心電図はできなかった。つい最近買い替えた時計は、心電図、血中酸素濃度も簡単に図れる。そんな身近なことにもコンピュータ処理の変革を感じた。

 コロナ禍で、在宅勤務や自宅学習が急速に進んだ。それに対応できない教員は至急自身の能力アップを求められる。我々高齢者も「面倒だ」「難しい」などと言わず、パソコンやタブレット端末を活用して、情報を手に入れないとどんどん取り残されてしまう時代になっている。(続く)