自分と社会を見つめる科学 その39

 「あなたは、良い年寄りになりたいですか、それとも不良老人になりたいですか」なんて聞かれたら、自分はなんと答えるだろう。サクセスフルエイジング第3章の最後は、101歳のクライアントの紹介から始まる。その人は、

①朝は、理学療法士を無視して自己流のリハビリ 

②昼は、病院の食事ではなく、ハンバーガーやポテトを買ってこさせて食べる

③夕日を撮影するのが大好き。教授が話しかけようと、カメラのファインダーから目を離さない

④お気に入りの美人女優の写真を並べ、スクラップづくり

⑤夕方は「同室のどこのだれが面会に来た、あの関係はあやしい」といった邪推や妄想を、別の部屋まで出かけて話し込む

全く困るわと、看護する側からすると不評この上ない老人だが、だからこそ元気でいられるのかもという感じだ。

 変身願望について昨日はふれたが、60歳、70歳代の頃はそんな積極的な生き方が素敵と思われるかもしれないが、平均寿命を過ぎ、80歳代後半から90歳代になれば、「もう無理しないでゆっくりしていて」とか「テレビでも観て、のんびり過ごして」などと親切な言葉で部屋に囲われ、ベッドに押しつけられかねない。「家族に迷惑をかけたらどうしよう」などと不安感の強い人の方が病状が悪化することも多いことを考えると、少々「言うことを聞かない」悪い老人でいるのも良いのかもしれない。やりたくてもできないことが増えるだけに、何か楽しみを見つけてハートを燃やせることがあればいいなと思う。私はドラマなどを見ていて、やや丸顔で柔らかい表情の女性が好きで、じっと見ているとほっこりした気分になる。(続く)