自分と社会を見つめる科学 その37

 3章第2節は「認知症との幸せなつきあい方」です。ここでは、小項目を紹介することで要点が理解できそうです。

1 誰でも「物忘れ」はします。

2 ポジティブに明るく

3 会話の大切さ

4 「暗いうつ」より「明るい認知症」

 誰しも身体的変化(老化)は避けて通れない問題です。悩み自分を卑下することでさらに症状が進むことが心配です。上の項目のように、今ある自分を認め、幾つになっても明るい気持ちで周りの人と関わり、その老化にブレーキをかけることに努力することが大切です。単に気分の問題ではなく、医学的にも心理学的にも証拠のあるところです。

 ただ、認知症のようなことは、本人だけでは改善を図れないことが多いように思います。家族を中心に身近な人たちが、上のようなことを実現できる関係づくりが重要です。明るい気持ちで過ごせる環境を整えなければいけません。本人が頭を使い考える場や、できたことを喜べる機会を作り、意欲的な生活を守ってあげたいものです。60歳、70歳と現役を退く社会的変化、子どもたちが家族の中心となる過程の中で、親子の役割分担をどう変化させていくのか相談したいものです。また、老夫婦が互いに自分の願う存在の場を確保しあえる配慮も大事にしたいです。

 そういったことを家族が協力してくれるように、早い段階から家族のより良い形を求め続けていかなくてはなりません。夫は勤めに行っていた頃と同じように妻に炊事・洗濯・掃除まで全て任せっきりではまずいと思います。独立した子どもたちに説教口調だったり、逆に弱気で落ち込んで余計な手をかけさせたりなど、家族から距離を置かれてしまうことの積み重ねは、結局自分に負の財産として返ってきます。自分の存在をどのように皆と関わらせていくか落ち着いて考えたいものです。

 私は、食べたいものを妻に言いつけるのではなく、自分でレシピを調べて作ったりしています。昨日は豚バラブロック肉で角煮を作り、今日はその汁を利用して、肉じゃがを作りました。自分の好物を自分で納得できるよう研究することや、家族などに喜んでもらえることは、単に脳の劣化を防ぐだけでなく、周りの人との支え合いの意識を高めることにつながると思います。「ポジティブに明るく会話をできる温かな人間関係」を育んでいくことは、サクセスフルエイジングの中心的な取り組みだと思います。(続く)