生涯現役の講演の中で、材料としてYouTubeを利用したことを扱ったし、ホームページを作ってブログを発信することで、自身の学びの記録にもなることなど、SNSとの関わりが重要なことも扱った。ただ、気をつけないとそういった情報はいつの間にか「選択の自由」どころか、自身の考え方まである方向に強く縛られる可能性もある。どこの国も隣国との関係はあまり良くないというが、日本も同じようだ。どれほど日本は素晴らしいか、逆に近隣の国がどれほどひどいことをしているかなど、結構ハマってしまう情報も多い。
Facebookで、ネガティブな情報とポジティブな情報を別な集団に流してその反応を実験したなどという話もあったが、人間の心理は自分では冷静に判断したつもりでも、受け取った情報にかなり左右されることが多いと思う。誰しも関心のある資産形成の情報も、いかにも自分の言う通りにすれば儲けること間違いなし的な話ばかりだ。講演でその辺りを気をつけるように確認すべきだったとやや反省している。
教育心理研究室と名をつけて日々過ごしているからには、このブログを活用して、実践編的な心理学の研究を進めていきたい。座右の銘を「自敬の念」であると紹介したが、自分を素敵な存在と思えるようになり、さらに自分を高めていきたいとするメタ認知力向上も具体の中で確認していきたい。
親に嘘をつく子供は、親の心を読もうとし、自分にとって一番良い選択肢を選ぼうとしている。価値観の順位が、今を無事に過ごすことが上位であるので、ものを壊したり内緒で美味しいものを食べたことより、自分ではないと親に思わせるにはどうしたら良いか真剣に考えているのだ。しかし、親は、ものを壊したりしたことより、嘘をつく方がずっと価値が重要なので、ショックを受け、子供の人格を疑ってしまう。
以前、佐伯胖先生を講師に授業研究を附属で行っていたが、メタ認知の話の中で、自分のお子さんのことが例に出された。トイレの落書きを注意されて、悲しかった子が、別な場所の落書きも正直に言ったら、親から「よく正直に言ったね」と認められ、それが嬉しかったのか、あちこち自分の落書きした場所をいくつも教えてくれたというのだ。そこに価値観の転換があったのだろう。物事を正直に言うと自分に良いことがあると。小さい子どもなりに、自分の中にもう一人の自分を置いて、自分がどのような行動をすべきか判断しているのだ。(続く)