シニア世代が、余生だといって家でのんびり過ごすことはうれしいというか、期待していたことだろうが、何もしなければ3ヶ月が限度かと思う。何かしらの目的を持った行動、共にする仲間との交流は、健康や生きがいといったシニア世代の関心事の成果を得るために必要なことだ。活動することで人の輪、つながりが広がる。
社会教育主事をしていたとき、職員指導によく使ったのが、「人見つけ」「人育て」「人つなぎ」など、「人◯◯◯」という言葉を思い浮かべさせ、そのための具体的なアイディアを考えたりした。
そのきっかけになったのは、新聞で「人もうけ」という記事を読んでからだ。詳しくはネットでも出てくるし、関係の本も出版されているので自分で調べて欲しいが、吉田潤喜さんというアメリカで大きな会社を持つ実業家についてだ。1969年当時19歳でアメリカに単身渡り、その時の資金はたったの500ドルで生活し始めた。空手道場を経営するも苦しい時代が続いた。その後、実家で作っていたソースを仲間に振舞ったら好評で、結果大きな企業に発展させたというのだ。彼がよく言うのは「金儲けよりも、人儲け」だそうで、人とつながり、大事にし、好きになって、困ったときには支えてくれて、どれだけ人の力に支えられたかということとのこと。
私の人生でも、人のつながりが、すごい驚きや大きな喜びを与えてくれた事例を山ほど語れる。今所属している男声合唱団で、指揮者は高校大学の先輩だし、四人のパートリーダーのうち、私を含めて3人は、大学時代に同じ合唱団にいた先輩だ。他にも高校大学時代の合唱班の仲間や、若い頃入っていた市民合唱団の仲間もたくさんいる。ありがたいことだ。
9日に、長野信金の地域みらい応援部の活動も紹介してもらえるが、今の時代、企業の社会貢献も求められる中で、その活動に参加する信金職員にとってやはり「人儲け」は大きな要素だろう。そういう私自身も、近くの信金に年金の口座を持っているが、それは、若い頃仲の良かった合唱仲間に声をかけられて作ったものだ。その合唱団をやめてからはほとんど会うことはなかったが、附属長野小学校に勤めた時、保護者として居て、校長室で楽しく会話したのは良い思い出だ。ちなみに、後から知ったのだが、今回の講演の市の担当者も、その附属小の保護者だったのも驚いた。世の中、日々過ごす中で、いろいろな人と関わるが、より良い関係を築くからこそ、再び出会った時、「人儲け」を感じることができるのではないだろうか。(続く)