シニア世代の充実した生き方に関して、研究の歩みを公開してきたが、来週に講演会が迫り、資料提出期限が迫っているので、まとめに入りたい。より具体的なポイントを整理していこう。
「能動的アクター」「アクティブシニア」など若者風の言葉を紹介したが、そんなふうに活動的に自身の経験や才能を生かし社会に発信・貢献できれば、自分と他者によって自分が認められる存在欲求が満たされるということだ。
以前別な講演会で紹介したことがあるが、長沼公民館は地域力を高め、まとまりのある人間関係を育むアイディア豊かな活動をしていて注目していた。例えば、神社に「五角(合格)登竜門」というのを置いて、地区の人に喜ばれた。合格を祈念する思いを、五角形の門に込め、そこをくぐるのが面白く大勢親子で来てくれたそうだ。紹介したいのは、その五角形の門を作ってくれたのは、地区の役員経験者で、建築関係の経験者の人が、「それなら俺がやってやる」と協力してくれたそうだ。そこに絵を描いたのは、公民館で学んでいた子どもたちが手伝ってくれたらしい。アイディアを出す人がいて、お得意な技術の提供者がいて、手伝ってくれる仲間がいて、それをたばねる運営者がいるからできることだ。
地域の役員を順番に回し、中にはそういう役員は勘弁してくれという人もいるだろうが、自分を生かせる場であれば、役員が終わっても気軽に参加してくれる。地区の仕事が大事なことがわかり、それを共有する仲間がいて、自分が役に立てると思えば参加したくなる。経験や持ち味を生かせるとすれば、お互いに嬉しいことだ。
気をつけなくてはいけないことは、「パターナリズム」つまり、こういうことはこうでなくてはいけないと、過去のやり方にこだわって、それぞれの人の持ち味やユニークな考えを出しにくくしてしまうことだと思う。(続く)