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熟成するシニア世代 その18

 昨日の「男の脳喝倶楽部」を取り上げたブログで、「主体的な歩みを始める」とか、「目的と結果を大事にする」ということに触れた。実は「ボランティア」という言葉の根本的な意味がそこに重なる。

 そもそも「ボランティア」という言葉の語源は、ラテン語の「VOLO」(ウォロ)だそうで、これは、「自分から進んで〜する」「喜んで〜する」という意味がある。17世紀の中頃からイギリスで使われ始めたが、「(自分たちの地域を自分たちで守る)自警団」「(徴兵や職業としてではなく、自ら手を挙げた)義勇兵・志願兵」という意味だった。日本でこの言葉が紹介された時、正確な訳がつけられず、のちに「奉仕活動」という本来の意味とは少し異なる訳語が使われるようになったことから、“自発性”よりも“善い行い”という捉え方が広がってしまった。そこから、ボランティアといえば福祉分野、というやや元の意味からは性格にズレのあるイメージが広まったと言われている。大震災や大規模災害のたびに大きな役割を果たしてくれる人たちのおかげで、この言葉は日本国民のほとんどが知っている外来語になったが、本来の意味に込められた「自発的・主体的」に社会の多様な課題に取り組むというスタイルは大事にしたい。

 いつかS •R•コヴィーの「7つの習慣」を扱ったときに、人間の命の次に大切なものは、「“選択する自由”があるということだ」と紹介したが、世の中、そしてそこに生きる自分を見つめ、どのように一歩を踏み出し、何を目指して歩みを進めるかが重要なのだ。川に流される落ち葉のようになんとなく波に乗るのではない、分析と決断が大事だ。

 退職して組織から離れ、シニア世代として新しいステージを歩み出すとき、その「選択する自由」を腹の底にきちんと置いて、学び、仲間と語り合い、行動を通して社会に自分の存在感を示していくのだ。今回の生涯現役促進協議会の講座が、単なるボランティア活動の紹介でなく、テーマに「あなただから出来る もう一人の自分発見 〜今、なぜボランティア〜」と掲げて開催されることは、とてもよいと思う。「シニア世代の学びと社会」(牧野篤著)を参考に進めてきたこのブログの目指すものと重なり、参加者に自分の目指すものは何か考える場となってほしいと思う。(続く)