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熟成するシニア世代 その16

 「リ・クリエーション(再創造)」という言葉を取り上げてシニア世代の生き方に話題を絞ってきた。どのようにシニア世代が自分自身の新しい歩みを進めていったらいいのだろうか。10月9日(土)に長野市生涯現役促進協議会主催の講座講師を依頼されているので、そろそろその具体的内容に迫って研究をまとめていこう。

 昨日の65歳から紙芝居に取り組み始めたという女性の話でわかるように、興味を持ったこと、母の姿を見て価値が高いと思ったことに、他人にお願いせず自分の課題として取り組み始めることがまさに「リ・クリエーション(再創造)」だと思う。

 私は、自分の研究室のホームページが欲しいなと思った時、自分でやろうとは思っていなかった。ずいぶん前に、参考書などを買ったことはあったが難しくて、積ん読(つんどく)状態だった。パソコンを使うことは慣れていたが、ホームページ作りにはとても専門的な知識・経験がないとダメだと思っていたので、教員仲間の後輩や保護者でそういった業務にあたっている人を思い浮かべ、やってくれそうな人はいないかなとか、どのくらい費用を用意すればやってもらえるだろうかなどと考えていた。実際に情報関係の会社に勤めている高校の後輩に声をかけたら、「私は営業で、そういう情報の仕事はしてないんです」と断られてしまった。

 かなり経ってから、たまたま見たYouTubeで、簡単なホームページの作り方を扱っていて、これなら自分にもできるかもしれないと、無料のものを作った。その後すぐに慣れてきて、これなら結構できそうだと、このJimdoでドメインを取って本格的に始めた。

 ここで言いたいのは、たいして根拠も無いのに、自分には無理だと思ってしまうことが誰にも結構あるということだ。「若者・よそ者・ばか者」という言葉を公民館職員指導で何度か使った。地域づくりに、前々からやっていたことに頼ってなんとなくやるのではなく、若者のような新鮮な挑戦心、よそ者の視線で見ると思いのほか地域に眠っている宝物があるとか、そんなの無理だという地域の声に負けずに馬鹿になって試してみるとか、そういうイノベーション(革新)的な発想でやりなさいということだ。

 逆にこれを言い訳にして、ここにはよそ者が来ないからなどと、できないことの理由に使っていることもあるらしいが、何もよそ者がいなくても、年寄りばかりでも、新鮮な気持ちでやることはできるということだ。自分自身の心の持ち方に目を向けてみよということだ。

 紙芝居の例に戻って、誰かに頼んだり、良いものを探して買ってきたりと方法はいろいろある。でも、この女性は、地域の歴史資料を調べたり、本当の昔の武士の着物を飾って絵にしたり、自分のできることを広げていく姿勢で感心した。以前に紹介した私の好きな言葉「似て非なるもの」がそこにあると思う。(続く)