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熟成するシニア世代 その4

 前回は主観年齢と実年齢の話で終わったが、多くの人が70代後半、いや80代になっても実年齢より主観年齢(自分が感じている年齢)が若いと思い、活動的な生活を続けてくれることを願っている。

 世代間のアンバランスが生じた理由は、戦後のベビーブームと、その後の優生保護法制定が大きな理由だ。多くの働き盛りの男・若者たちを戦争で失い、戦後1947年ごろから第1次ベビーブームで毎年270万人もの出生を記録する。その急激な人口過剰に対処するために、1948年優生保護法が制定され人工妊娠中絶を合法化した。翌年、中絶を認める理由に「経済的理由」を加え、さらに1952年には法律を一部改定して、中絶の手続きを簡素化した。その後1960年代初めにかけて急激な出生数の減少をもたらした。

 私は、1952年生まれで、第一次ベビブーム世代のすぐ後輩に当たる。卒業した中学は、私の上の学年二つは13クラスあった。私の年から10クラスにガクッと減った。上の戦後の歴史を実感している。1962年ごろまでは出生数が減り続けるが、その後1970年代前半にかけてまた増加する。これは第2次ベビーブームと言われ、第1次の世代が結婚期を迎え、出生数が増えた。それをピークに、現在に向けて出生数は再びどんどんと下降してきている。

 その1年間出生数が200万人台の高齢者を、100万人台の若者が支えるというアンバランスが、今40代後半(第2次ベビーブーム)の人たちが長寿を全うする間継続するのである。昨日は、「あと20年」と書いたが、第2次ベビーブーム世代のことも考えると、あと半世紀は不安定な状況が続くことが予想される。

 そして、問題は、その支える主体が、国から県・市町村の基礎自治体に移行してきているのだ。私が今度講演する「生涯現役促進」関係の事業もその対応策の一つなのだ。何をどうすれば良いのか、地域に住む人たちに投げかけられている。(続く)