· 

熟成するシニア世代 その3

「シニア」という言葉があちこちで使われている。「高齢者」というと何か役目を終えたお年寄りのイメージが出てしまうし、自分が「高齢者」と言われるより、広い意味で上級者・年長者を指す「シニア」の方が気持ちが良いようだ。このブログを進める前に、まずこの呼び方の社会的な定義を整理しておこう。

 まず「高齢者」とは、WHOの定義では、65歳以上としている。65〜74歳までを前期高齢者、75歳以上を後期高齢者と呼んでいる。(厚労省健康情報サイト)しかし世界には60歳以上を高齢者としている国もあり統一されているわけではない。日本の内閣府が行った国民アンケート調査では、「何歳以上を高齢者とするか」という問いに対し、70歳以上、75歳以上とする回答が多く、80歳以上とする回答が5年前に比べて大幅に増加しているそうだ。(健康長寿ネット)日本では、60歳代はまだ高齢者としない意識が強くなってきている。

 さて、「シニア」とは、もともとは、「年長者・先輩・先住者・上級の者」を指し、若者のスポーツなどで、ジュニアクラス、シニアクラスという言い方がよくある。ただ、「年齢が高い人」という意味で最近は「シニア」がよく使われ、「シニアライフ」「シニアグラス」「シニア住宅」などいろいろな表現になって利用されている。

 「シニア」が何歳からかについては、定義はないが、国連では60歳以上、WHOは前述の高齢者と同じで65歳以上とのこと。しかし社会的にはいろいろな受け止めがある。「50歳から90歳までをシニア、40歳代はアンダーシニア、90歳以上はオーバーシニア」という記事もあった。

 定まったものはないが、平均寿命が伸びる中で、高齢者・シニアをどの世代とするかは当然高い方へ変化していくだろう。一般的な意識も、60代では高齢者と呼ばれたくない人が多い。70代になって、体の変化や生活の不具合が出てくる中で、自分は高齢者の仲間入りをしたと感じる人も多いようだ。以前「実年齢」と「主観年齢」についてこのブログで扱ったが、20歳ごろを境に、多くの人が実年齢より自分が若く感じる主観年齢を持っている。それが揺れ動くのが70代で、非常に個人差があると思う。自分の年齢をどう感じているかという意識の問題は、この生涯現役の問いにとってはとても重要なポイントである。(続く)