「少子高齢化」という言葉を教育委員会にいた時は何度も耳にし、また自分でも使っていた。高齢者とか老齢人口だとか、結構社会のお荷物的な感じで使われる場面が多い。団塊の世代と言われる第1次ベビーブーム(1947〜1949)が話題の中心だが、その「団塊世代」は堺屋太一の将来起こりうる問題を予測する小説がもとで有名になった言葉だそうだ。確かにこの世代のアンバランスな状況は難しい調整が必要になることは事実だ。
しかし、この世代が戦後復興、高度成長期の日本を支えてきたことは忘れてはいけない。高等教育への進学率の急速な上昇、受験戦争を乗り越えた競争意識の高さ、高度成長期を経験し頑張れば報われるという意識の高さなど、確かに独特の特徴を持っているようにも思う。
その世代の多くが退職する2007年問題とか、それをソフトランディングさせた延長雇用(65歳までの雇用)が終わる2012年問題だとか、社会の不安はずっと続いてきている。今は、その団塊世代が75歳、後期高齢者になる2025年問題が注目されている。
懸念されることを整理すると、①高齢者と現役世代の人口のアンバランス(高齢化率の急激な上昇)②認知症の急速な増加や年間死亡者数(約160万人のうち65歳以上が140万人)③高齢者世帯数約1840万世帯(その約7割が一人暮らしか高齢夫婦のみ、老老介護)④医療費・社会保障費問題(75歳で医療費が3割負担から1割負担へ、社会保障給付費予算2018年の約121兆円から2025年は約140兆円以上へ) ※参考:厚労省資料
この他にも、人材不足(特に確かな技能者・医療福祉・サービス業等)、後継者未定で中小企業・小規模事業等存続が不可能になる事態など、調べてみれば本当にいろいろ出てくる。
戦後、世界にも例を見ない歴史を築いてきた日本が、まさに羅針盤のない航海を続けていかなくてはならない状況、しかも大きな波が待ち受けているこれからの20年ほどをどう描いていけばいいのだろう。戦後世代の戦いはまだ終わっていない。(続く)