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熟成するシニア世代 その1

 「老いの研究」というテーマで、脳を中心に人体について学んできた。誰しも、できることであれば健康で長生きしたいことだろう。医学の進歩に支えられて今の子どもたちの半数以上は100歳を超える。人生100年時代というテーマで私も講演でよく扱ってきた。もちろん長生きすれば良いというものではない。どのように生きるか、健康長寿はもちろんだが、自分の生き方をどのように構築していくのか、そこが問われる時代になってきた。

 最近YouTubeを開くと、年金をいつからもらい始めるかとか、老後の資金の貯め方とか、退職後の生活に関する情報がとても目につく。時代の変化を感じる風がいろいろな方向から吹いてくる。しかし、どれだけ人はそういったことに対して、冷静で正しい情報を求めて生きているだろうか。新聞を賑わせた自己資金2000万円問題のように、騒ぎだけが大きくなって、なぜそうなのか、いつからそうなったのか、国ができる事は何なのか…。ただ不満と要求だけでは何も解決しない。

 余談になるが、私が地区の代議員をやっている退職校長会も、以前は60歳で退職した先輩たちが知恵を出し合い現場を支えることに熱意を持って意見交換していた。しかし今は、その60代の人たちはほとんど現役で働いている。一応退職した仲間として会員にはなっているが、意識は現役だ。この組織のあり方や目指すものは何か、その根本に視点を当てて考え直していかないといけない。大きな時代の変化を見つめ、今までとは違う人生設計、自分の役割を感じられる組織づくりを進めないといけない。先輩として昔はこうだったではなく、今の時代、学び続け自己を更新していくことが、シニア世代の学びと社会での存在のために重要になっていると思う。

 今回からこのブログで、シニア世代の生き方について研究を進め発信していきたい。主に教育の視点から、“シニア世代の学びのあり方”や、それをベースにした“人生を豊かにしていく日々のあり方”をテーマに進めていきたい。社会教育主事をしていた頃から大変参考にしている牧野篤先生の研究を中心に研究を深めていきたい。私の持っている先生の書籍は、「シニア世代の学びと社会」「農的な生活がおもしろい」「『つくる生活』がおもしろい」「生きることとしての学び」などです。抜粋などする場合があるのでご理解ください。(続く)