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老いの研究 その17

「アルツハイマー病の発症を遅らせるにはどうしたらいいのだろう。」この“遅らせる”に目が止まってしまう。参考にした本には、「認知症の発症率は歳をとるごとに上がり、65歳以上では、年齢が5歳上がるごとに発症率は2倍ずつ増加する」とされている。発症しない方法は書かれていない。出来るだけ「防ぐ」「遅らせる」ということだ。以下にあまり私見を入れず本に書いてあることを紹介する。(別冊ニュートン「脳とは何か」)

 その方法を整理しよう。項目を先に上げると、

①日々の運動 ②規則正しくバランスの取れた食事 ③趣味を楽しむ ④十分な睡眠 ⑤会話などが挙げられている。

 ウォーキング・ジョギング・水泳といった有酸素運動で脳の血流量が増えたり、ニューロン(脳の神経細胞)の成長や増殖をうながす物質が分泌されたり、免疫機能が高くなったりして予防に良い。

 また、食事についてはたくさん参考書が出ているので、自分に合ったものを実践してほしい。販売に都合の良い宣伝文句や健康雑誌の言葉に踊らされて、値段の高いもの、偏ったものに振り回されないように気をつけてほしい。大事なことは正しい情報と何事もバランスよくということだ。飲酒も毎日少量なら予防的に働く。今は、コロナ騒ぎで宴会・会食が制限されているので良いが、過度な飲酒はリスクが高い。

 趣味は毎日の生活を生き生きと過ごす大事な要素だ。料理や楽器演奏、以前私がお勧めした合唱もとても脳のネットワークを働かせる効果が期待できる。

 また、記憶のところで触れたように十分な睡眠、適度なお昼寝も大事だ。

 当たり前のようで案外できないのが会話だ。特にシニア世代の男性は要注意。毎日元気だったのに配偶者が亡くなった途端に認知症を発症したという話がよくある。身近な人を亡くすことで、心理的な面も心配だが、当たり前にやっていた会話や一緒に行った買い物などが案外脳に良い刺激を与えていたのだ。

 これまで脳を中心に老いの研究を進めてきたが、やや専門的な話で、私の勉強にはなるが、ブログを読む人にとっては、挿絵や写真の入ったわかりやすい本を読む方が良いかと思う。来週からは話題を転換して「生涯現役社会」について研究していこう。