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老いの研究 その13

 脳のトレーニング「脳トレ」がシニア世代にとってはとても関心があると思う。誰しも物忘れは嫌だ。私も人の名前が出てこなくて焦る時がある。まあ固有名詞が出てこないのはあまり気にしなくても良いとは言うが、家族から「ボケた」と言われるのは本当に嫌だ。

 記憶力をアップするために「復習」が大事だと先週説明した。他の要素としては、「忘れられないような衝撃的なこと」と、「ワクワクすること」など、いくつかある。私は、「好きこそ物の上手なれ」の言葉に表されているように、「ワクワク」は結構大事だと思う。

 この頃、心理学や脳科学の本などをよく読んでいる。それはやはり「面白そう」で「ワクワク」するからだと思う。退職した世代で、受験や進路があるわけではないので、基本的に面白いから勉強しているのだと思う。皆さんはどうですか。

 何時間も机に向かって集中するよりも、スキマ時間を活用する分散学習も記憶にはとても良いらしい。歩行中・バスや電車など移動中はシータ波(脳波)が出て海馬が活発になるそうだ。海馬は位置情報をつかさどる役目を持っているせいだろうか。ウォーキングやジョギングなど有酸素運動でも、海馬の血流がとてもアップするそうだ。

 寝る前の2時間は記憶のゴールデンタイムだという。睡眠中に脳の中で情報の整理(記憶処理)が行われる。レム睡眠は、体の睡眠は深いが、脳は活発に働いていて、重要なことは強い記憶として保存されるということだ。熟睡しているようなのに、目がきょときょと動くのだ。夢を見るのもこの時らしい。脳の中では、起きている時とは違って、非常にランダムにネットワーク回路が活性化し、ふだんは関係ないような記憶同士がつながって、アイディアがひらめいたりするらしい。私も以前、音楽授業研究テーマでずっと悩んでいたとき、朝起きてハッと思いついてすぐメモしたことがる。脳の中で、夜中にいろいろなこれまでの経験などと結びつけ良い考えを示してくれたのだろう。

 また、NASAの研究で、昼寝26分で能力34%アップするそうだ。ただし30分以上になると夜の睡眠を妨げるので注意。色々調べていくと新しいことがわかって楽しい。(続く)