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幸福な老い 身体編その5

 私たちの体を構成している細胞は日々更新していると昨日書いたが、これは脳でも起きている。私は脳科学が好きなのでよく友だちとの会話でも材料にする。ただ、あまり専門的な話は迷惑がられるので、面白い話題にしないといけないが。

 ごく最近のことらしいが「2光子レーザー顕微鏡」を使って脳内の様子を撮影することができたという。マウスの脳内(大脳皮質)で、ミクログリア細胞が神経細胞のつなぎ目であるシナプスを検診している様子を観察したとのこと。

 映像等でもう少し詳しく知りたい人は、ニュートン別冊「脳とは何か」を参照してほしい。脳の中でミクログリア細胞はたくさんの細い腕のような突起を伸ばし、たくさんある脳の神経細胞のつなぎ目であるシナプスに接触し、しばらくその神経細胞が働く様子を検査しているようだ。正常な脳では、1時間のうち5分ぐらい突起を伸ばして接触しているらしい。そして、血流を止めるなどして神経細胞に障害を起こしてから観察してみると、ミクログリアは1時間以上にわたってじっくりとシナプスを検診していたとのことだ。

 脳には、情報伝達をする“神経細胞”とそれに栄養を供給するような世話をする“グリア細胞”がある。そして“ミクログリア細胞”は、グリア細胞の仲間で、傷ついた神経細胞の修復や除去を行っている。それがあちこちに腕を伸ばし、しばらくじっと観察し神経細胞が無事か定期的に観察しているらしい。なんとも不思議でうまくできた仕組みだ。

 スマートエイジングで、筋トレの次に脳トレの話をしたが、日々の生活で頭の訓練もとても大事だ。頭のラジオ体操に当たるものはなんだろう。まあこうやってブログを書いていることは、とても良い頭の体操だとは思うが…。それから忘れてはいけないのは、体の各部分を動かしているのも脳の各部署なので、体操も賢く行ってほしいとも思う。(続く)