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幸福な老い その6

 シニア世代の趣味を通して「楽しい」のレベルを考えた。スタートは、やはり「面白そう」で、続けるのは「楽しい・仲間がいい」など活動そのものが自分にとって素敵だから。でも、運営に関する役員になってふと振り返ると、ずいぶん無理もしているなと思うこともある。大勢集まれば当然様々な考えや生き方の違いがある。話し合ってみれば通じるとは思うが、ちょっとズレがあると誤解も広がる。それをうまくまとめあげるのに喜びを感じられる人はそうそういない。

 牧野篤先生も書いているが、「趣味は、何か目的を持った手段や方法としての趣味、たとえば自分の生きがいを見つけるための趣味、他人の役に立つための趣味、若い世代への伝承のための趣味などというデザインのされ方であってはならない」(「シニア世代の学びと社会」P 26)の一文が重い。

 私もつい「生きがい」という言葉を目的に置いて、趣味が大事だと公民館などで話してしまうことがある。大事なのは、それに魅せられ、次のステップへ自然と向かえるような向上心やもっと楽しみたいという気持ちを刺激するような内容であることだ。老いと向き合い、サクセスフルエイジングを求めていくために、「楽しい」の意味を勘違いしないようにしたい。(続く)