· 

これが自分 その20

「老いとどう向き合うか」今回は身体的変化について触れてみよう。

 先日、NHKの血液を扱った番組で、若いネズミと高齢のネズミの血管の一部を繋ぎ両方の血液が循環できるようにした実験で、高齢のネズミの組織が若返ってくるという研究が紹介されていた。我々の肉体を構成している60兆個の細胞の100億個が毎日更新されているそうだが、その再生力は年齢とともに弱まってくるのだろう。若いネズミの血液にはその再生力が強く、老いたネズミの細胞に働きかけてくれるようだ。その辺の医学的研究も進んでくるだろうが、物体と同じように我々の体にも経年劣化は当然ある。それを少しでも遅らせたり、再生力を維持することはとても大切だ。

 私が公民館の「歌と健康セミナー」で紹介しているスマートエイジングの中で、賢く年を重ねる7つの秘訣で、最初の三つは、「有酸素運動」「筋トレ」「脳トレ」だ。これについては以前触れたので、今回はもう少し心理的な面から考えたい。

 私が50代半ばで倒れて、救急車で運ばれ、脳内出血、心臓停止を乗り越えてきたことは紹介した。その後、大学のOB会で先輩にその話を苦労話というか武勇伝の様に話した時、その先輩は、同情するどころか「そういうやつの方が長生きするんだよな」と語られた。その時は「えっ?」っと思ったけど、今考えるとある意味当たっていると思う。

 やはり身体的変化も大事なのは本人の意識の問題が重要なのだ。「元気で長生き」を目指すには、色々な生活改善を図らなくてはいけないが、「◯◯になってはいけないから、△△を頑張る」というのは、何か鬱陶しい気がするし、ストレスも溜まる。だからといって、俺は健康に自信があるとか、長生きしても仕方ないなど、何もしないのも問題だ。

 この頃私は家事をよくするが、立っている時間が長く、動き回って頭を働かせている時間も結構多い。お金を払ってスポーツセンターで運動するのも良いが、毎日の中にたくさん楽しく体を使うことがある。大事なことは、そんな当たり前の生活でも健康な体の維持に大切なことの意味を知って、一工夫することがとても大事な気がする。若い人と血液の交換はできないが、若い人と交流することで心理面での活性化はかなりあり、脳の細胞の更新には良い影響があるようにも思う。(続く)