「老い」と向き合うために最も重要なのは“社会的変化”への対応だろう。私は、「元◯◯小学校長」という肩書きは使いたくなかった。「元」にしがみつくのではなく新しい自分の場を持ちたかった。とりあえず退職し嘱託職員として教育委員会に勤めた。公民館活動などの世話をする社会教育の仕事に取り組むことになった。単に事務仕事をするだけでなく、再び大学で学び、社会教育主事の資格を取ったことは、あたらしい世界に触れる良いチャンスだった。そして社会教育で大人の学びを指導する立場になって、人にチャレンジを進めるだけでなく、自分も独立して、自分が自分のなすべきことを選択する日々を過ごしたいと思った。いつまでも組織の一員で机に座りパソコンと多くの時間を過ごすのとは違う世界に入ってみたくなった。今は、このホームページで公開しているように“趣味起業”で研究室を立ち上げ、自分の好きな心理研究を楽しんでいる。
それだけでは生活の安定は図れないだろうと言う人もいるかもしれないが、これまで勤務の一つとして行っていた講演も、独立してからは講師として手当をもらえるようになった。講演がきっかけて合唱団指導を任され報酬ももらっている。ただ、それも70代になってくれば次第に状況が変わってくるだろう。講演とは別に収入を確保する取り組みもしているが、それは資産管理の問題なのでここでは触れない。ただ収入の成果を出すためにはとても勉強した。一流の人の体験談などもたくさん触れた。そして真似をするのではなく、その真髄というかなぜそれが重要なのかを考えることが大切だと思う。単に「こうやればうまくいく」などと方法だけを学ぶのは失敗することにつながる。
社会的変化で特に気をつけなくてはいけないのは、趣味などでごく限られた人間関係で過ごすことや、毎日目的もなくなんとなく過ごすことだと思う。家族にわがままを言うなど心理的変化に注意することはもちろん重要だ。(続く)