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これが自分 その15

 老年期の過ごし方について、私がよく使うのは「スマートエイジング」で、簡単に言えば「賢く年を重ねる」ということかと思う。ニュートンの「ゼロからわかる心理学」では「サクセスフルエイジング」という表現が使われていた。これは、アメリカで生まれた言葉だそうだで、適切な和訳はないが、意味するところは「良い人生を送り、人生を全うする」ということだそうだ。しかし、ある意味それはどんな世代にも通じることかと思う。子どもから青年期へ若者は教育の場で学び、成人してからは、就職して仕事に日々取り組み家族を支える。皆それぞれの場で、良い人生を送り、人生を全うすることを願っている。

 ただ、老年期に異なるのは、自分の存在をかけてやるべきことを自分自身で見つけ出していくというところだろう。毎日決められた時間に勤めに行き、与えられた役目を精一杯果たし、家族を支えというように、やるべきことが与えられていた人生から、生きる目的を自分で見つけ出していかなくてはならない。もちろん、自分自身で食事や住む場所などを守り続け、健康を維持するのが精一杯という人もいるだろうが、それはここでは置いておく。

 私の父は、85歳で亡くなるまで市民農園を利用して色々な野菜を作ってくれた。農家出身だからということもあるが、本当によく手が入っていた。長寿である長野県は、老年期の人たちの働く意欲が高いそうだ。また、健康診断等の受診率も高く、日々の過ごし方に対する意識が高いように思う。自分にできることややるべきことは何か考え、自己管理することが、サクセスフルエイジングの基本だろう。

 ただ、私よりも先輩の教員仲間が、今でも教育委員会で嘱託職員として仕事を続けているのを見ると、頑張っているなという思いだけでなく、「残された人生、もっとやってみたいことはないのかな」とも思ってしまう。私が趣味起業したのは、その挑戦心というかもっと別な世界も経験してみたいとか、人から言われた仕事・分担した仕事ではなく、自分で仕事を作り出したいとか自分のアイデアで仕事をこなしたいという願いがあったと思う。人生100年時代、60歳で退職した時代から、65歳、70歳と伸びていく流れにあって、そこは見つめ直したい点ではある。(続く)