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これが自分 その12

 私と教育研究については書き出したら収拾がつかなくなりそうなので、後日授業研究をテーマに整理して書くことにしよう。中年期の心理についてもう少し一般的なことにつなげてまとめてみたい。

 私の例で書いたように、40代は社会的な立場が大きく変わり、仕事も家庭も別れ道が目の前に現れ、選択を迫られる。自分の家族や自分の経験など、置かれた立場で自分をどう生かしていくか、その転換に向き合い迷いが生じる時代だ。

 それは女性も同じだろう。育児に追われていた女性を例に考えれば、子どもたちが中学・高校へ進み、親との関わり方も大きく変わる。思春期の不安定さや青春期心理の自分と向き合い迷う時期で、親の手を鬱陶しいと思うことも多い。母親にとっては、自分の存在をどのように転換していくか迷うのが普通だろう。

 勤め人や自営業など報酬をもらう仕事に専念する比率を上げることや、趣味に力を入れることで日々の充実感を高められれば、苦労はあっても目指すものがあることで心理的な不安は消されていくだろう。女性脳は、一日2万語の会話を求めるという本を読んだことがあるが、良い仲間や身内と濃くつながっていく例も多い。できれば避けたいのは、「もういい歳だから」と運動不足や仕事の手抜きを自分に言い訳して、心身の劣化を当たり前と受け入れてしまうことだ。

 中年期以前は、ほとんど個人のライフサイクルの中で課題に取り組んできたが、中年期は世代を超えた時間軸や、社会的つながりという広がりの中で課題と向き合うという意味で、それまでとは大きく異なる。この中年期の不安・迷いをうまく乗り越えないと、自分の世界に留まり、停滞の状態にはまり込んでしまう。信念とまでは行かなくても、自分の経験や得意なこと、大事にしている考えなどを生かして、外の世界とつながり、自分を発展させていって欲しいものだ。自分とは何か、アイデンティティを見つめていくことが重要だろう。