今日は、地元で活躍する演奏家のコンサートを聴いてきた。メゾソプラノとゲストのテノール(大学院生)の演奏だったが、どちらもやわらかい声で、音域の上から下までよくコントロールされた演奏で、心が引き込まれ楽しめた。「人生の応援歌〜古関裕而を謡う」というテーマだったが、今年朝ドラで話題になった昭和の名曲を味わえてよかった。
私の指導している混声合唱団エールは、そのドラマをヒントにつけた名前なので、古関裕而の曲を大事にしたいと思っているので、とても良い刺激になった。それぞれの曲のイメージを大事にし演出も工夫していたが、独唱の良さは、そうやって自分が主人公になって、歌の世界にハマるところにあると思う。
合唱の原点にも同じことがあると思う。最近の合唱は、色合いの変化を狙って、ずいぶん難しい和音を取り入れ、内声のパートなどはかなりレベルの高さを求められるものがある。それはそれで面白さがあるが、音取りに夢中になって、歌の世界を楽しめないことも多い。「仲間と歌を楽しみたい」と入団の動機には結構あるが、必死で音とりに顔をしかめるのはいかがかと思う。
皆で、同じメロディーを、ソリスト集団になって歌ってみたい。自分の体を精一杯使って、息をしっかり流し、歌に込められた思いに浸り、情感豊かに歌い切る。それは、各パートに分かれて合唱する時にも大事なことなので、自分の演奏力を高める大事なステップになる気がする。特に、始めたばかりの人、音程を取ることに課題を感じている人にとって良い経験になるのではないだろうか。声をのびやかに出せるようになれば、音程も自然と安定してくるように思う。
「あなたはなぜ合唱を始めたのですか」「合唱で求めたいものは何ですか」と自分自身に問いかけたら何と答えるだろう。そこに主人公になって、歌の世界に自分を羽ばたかせる魅力を投げかけてみたい。