· 

まことの花 その3

 混声合唱団エールの自己紹介カードを見て、それぞれの人の思いになんとか応えていきたいものだ。脳科学の本で印象に残っていることで「男性脳」と「女性脳」がある。色分けしてみることが良いとは思わないが、今回のアンケートで分析してみた。

 女性に思いのほか多かったのが、いくつかの合唱団を兼ねていたり、いろいろな団を経験してきていたりする人が多いと思った。いろいろな仲間や先生との出会いや、扱っている曲や目指している活動の違いなど、新鮮さや共感を大事にしているように思う。男性の方が、私と同じように、自分のレベルアップや健康・生きがいなど社会教育的な価値を求めているように思う。

 練習していて、女性の方が私の指導中の言葉に反応してくれる。「面白い」と言ってしまえば誤解されてしまうが、今いる時間を楽しく充実させることに長けているように思う。男性の方が、成果や自分の欠点を気にして、なんとかしなくてはという思いが強いように感じる。人数的にも男性の方が手薄なので、負担が重いのかとも思う。男性が練習に楽しく参加できるようになってもらうのが大きな課題だ。

 「初心忘るべからず」は、ずっと前の初々しかった頃の気持ちを忘れずに取り組めと言われているように考えてしまうが、世阿弥は、「まことの花の失せぬところをば知るべし」と言っている。咲くのも散るのも自分の心のままなのだ。私が充実した練習、楽しい練習を行っていくことはもちろんだが、その時間を団員が自分の思いを見つめて、自分で花を咲かせて欲しい。そこが他の合唱団と違う指導と言ってもらえるといいのだが。