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まことの花 その2

 新しく発足した混声合唱団エールの指導を依頼されて、「合唱と教育」をアイデンティティーとする私にとって、「まことの花」を咲かす大事な場をいただいたことになる。

 学校教育や社会教育の専門家としてできることは、団の演奏を可能な範囲で高いレベルに持っていくことはもちろんだが、それに加えて、参加してくれた人たちが、合唱の魅力や歌う生活の面白さに気づける場を提供することかと思う。

 参加者一人ひとりにとって「まことの花」とはなんだろう。「初心忘れず」取り組んでいくことを自分事にしてもらえるのだろうか。

 まず参加者を集団として扱うのでなく、団員一人一人の思いに触れていくことが大事かと思って、「自己紹介アンケート」をとった。今まで自己紹介の時間を取ることはあったが、個人の思いを調査するような合唱団は経験していない。全員に、入った動機・経過やこれまでの経験、やりたいこと・要望などを提出してもらった。私としては、それぞれのこれまでの歩みや思いに触れ、合唱することの意味を団員が見つめてもらうことを大事にすることで、限れられた練習・交流を価値のあるものにしていきたい。

 アンケートを見ると、入った経過で、私の指導を以前受けたことがある人たちから、「熱のこもった指導」「とてもわかりやすい指導」といった声があった。団員が、情熱を持って活動し、新しい世界に触れ、生きがいを感じられるようになってほしい。私は、活動している意味にも視点を当てて、日々を生きている実感を持ってもらうことが「まことの花」を咲かす重要な指導内容だと思う。個々の考えを整理して、私が指導につなげていくべきことを見つめていかなくてはと思っている。(続く)