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まことの花

 スマートエイジングについて語る中で、7つの秘訣について順番に私のこれまでの経験と結びつけながらまとめてきた。このおおもとで、混声合唱団エールの目標の1番に挙げた「初心忘るべからず」「まことの花」について掘り下げてみたい。

「まことの花」は、世阿弥の「風姿花伝」をもとに取り上げられている。

 

(岩波文庫P58から一部引用)「時分の花・聲の花・幽玄の花、かようの條々は人の目にも見えたれども、その態(わざ)より出で来る花なれば、咲く花の如くなれば、また、やがて散る時分あり。されば、久しからねば、天下に名望少し。ただ、誠の花は、咲く道理も、散る道理も、心のままなるべし。されば、久しかるべし。」

 少年の愛らしさや、青年の若さゆえの美しさ、柔和な姿、そういったものは、他人の目によく見えるだろうが、その姿やふるまいから出てくる花なので、咲く時もあれば、やがて散る時もある。だから、その期間が短ければ名望も少ないだろう。ただ、「まことの花」は、咲く理由も散る理由も心のままなので久しいだろう。その「心のまま」をつかむために、(原文)「能を盡し、工夫を極めて、この花の失せぬ所をば知るべし。」つまり、とことん学び、工夫を極めて、この花の(まことの花)失せぬところを知りなさい。

 

 私は、退職し自分の毎日に自分が道をつけ、自分の力で歩む日々になった。だからこそ、これまで求め続けてきた道、自分が本当にやりたかったことを見つめ直し、この世を去るその日まで、初心忘れず学び続けたい。心のままなればと自分に語り続け。(続く)