人生は自分発見の旅 その20

 児童合唱団の指導は、次世代育成の大事な仕事だと思う。地域文化育成に取り組む人は多いが、自分の所属する社会教育団体の活動を中心に活動している。児童生徒の活動については、学校の仕事であると思われているが、学校によっては歌いたいのに合唱部がないところもある。教師の人事異動で活動が大きく変わり悲しい思いをしている子もいる。以前紹介したが、この私も中学校でそれを経験し、部長として苦労したことを、今でも子どもたちに向き合う時思い出してしまう。音楽の好きな子どもたちが、学校の枠を超えて楽しむ場を用意してあげることが、長い目で見ると地域文化育成にとても大きな財産となるはずだ。

 私が、そんな地域の子どもたちの合唱団活動に関わるようになったのは、今世紀初め、相森中学校に勤めていた頃、須坂市文化会館(メセナホール)のメセナ少年少女合唱団の指導を依頼されてからだ。ホールが新しくできた時、合唱団も設立されたようだが、創立に関わった熱心な指導者も転任し、次第に活動が下火になってきた雰囲気だった。ある日、私が行くと、以前から指導していた他の先生が誰もおらず、ピアニストもいなくて困ったことがある。ホールの事務員で担当係の女性から、「前に、誰も先生が来なくて私が一人でやったこともある」と聞いて驚いた。本人は吹奏楽経験者でそれなりの指導はできたようだが、休日に楽しみでやってくる子どもたちに申し訳なくなり、まず指導体制から整えなくてはと思った。

 忙しい教員たちにとって、休日の指導は自分の部活動のことも考えると重い仕事であることは事実だが、だからこそ大勢で協力して負担を減らし、教師も活動を楽しめるようにしたいと思った。(続く)