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人生は自分発見の旅 その19

 長野県県民文化会館の事業に協力したことで一番思い出になっているのは、ウィーン楽友教会合唱団の来日公演に子どもたちの合唱団を率いて参加したことだ。

 長野県県民文化会館とウィーン楽友協会は1982年から姉妹提携をしていて、様々な交流事業をしている。私自身もその事業の一環でウィーンを訪問した。第3回長野県芸術文化使節団のプロジェクトリーダーとして、長野市民合唱団の仲間とゴールデンザールで演奏会をしたのが自分の合唱活動として一番大きな思い出だろう。城山小学校で音楽専科をしていた時だが、自校の音楽会の直前1週間学校を留守にしてウィーンに行っていた。同僚の先生方にご理解いただき、手分けをして準備していただいたからこそできたことだと思うと、一層忘れ難い思い出だ。

 そして2016年、その姉妹提携事業の一つとしてウィーン楽友協会合唱団長野公演で、地元の代表として参加を依頼された。本番が2月とのことで依頼を受けたのは、半年前の8月末。準備期間が短く不安もあったが、他にこのタイミングで100人を超える子どもたちを集めて演奏を依頼できる人が思いつかなかった。当時運営に当たっていた長野市児童合唱団約40名の他に、コンクール等で活躍していた朝陽小学校、鍋屋田小学校の合唱団に協力をお願いして、なんとか実現にこぎつけた。日頃の地域に根ざした活動と、それに理解してくれる教師たちの連携が育っていたからできたことだと思う。「他人の役に立つことをする」ということが、結果的に「自分を育てることになる」ということの象徴のようだ。賢く年を重ねるということがこういうことだと自信を持って伝えられる事例かと思う。(続く)