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初心忘るべからずの心で学び続ける

 今週は、「歌と健康セミナー」が三つの公民館で行われる。文化の秋を実感するどころか、その準備に追われる慌ただしい週になる。このセミナーの中心となっている「賢く年を重ねるスマートエイジング」で、とりあえず取り組むのは「有酸素運動」「筋トレ」「脳トレ」だが、歌うことはまさにそれに重なる。体の準備にストレッチをし、声を出すことそのものも真剣にやれば有酸素運動だ。足の親指に付け根にある母指球に重心を乗せ、手の指先まで神経を入れて歌うよう指導している。そのためにも、スクワットやランジウォーク、壁を使った姿勢チェックなど、体の鍛え方も指導している。普段は使わないインナーマッスルに注目させるのは、普通のスポーツよりも健康に良いかもしれない。

 本には「脳トレ」の項に、「音読」が例として上がっている。引用すると「さらに、大きな声で音読している時も脳のいろんな場所が活性化します。自分で声を出し、その声を耳で聞いて、言葉の意味やイントネーション、音の高さなどを瞬時に脳が計算して調整しているからです」(p44)と説明されている。合唱することは、まさにそれ以上の高度で脳のいろいろな場所の連携が必要になる。しかも、譜面から目を離し、指揮を見るとなると、記憶力も研ぎ澄ませていかないといけない。

 昨日たまたまテレビで見かけたのだが、女性の顔のたるみやほうれい線など、表情に老化が起きないためのアドバイスをしていた。参考に出ていた女性は、顔の表情の美人コンテストで勝ち続けている人らしいが、やっていることは、スクワットや姿勢作り、それから何と料理の時、お玉を逆さに持ってマイクがわりにし歌っていた。大きな声で表情豊かに歌うことで顔の筋肉を動かしているらしい。まさにセミナーでやっていることと内容が重なる。

 コロナ騒ぎで家にいる時間が長いために体を動かす健康番組が多いのだろうか、セミナーで地域の人にいかに指導するか研究しているせいなのだろうか、やたらにそういう番組が目につく。以前なら他人ごとのようにチャンネルを変えていたのに、やはり求めるもの、追究するものがあるから、些細な情報でも自分の中に飛び込んでくるような気がする。これも良い「脳トレ」なのだろう。賢く年を重ねるスマートエイジングは、命尽きるその日まで「初心忘るべからず」の心で、より良いものを求め学び続けることだろう。