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自分の体を自分で意識して使いこなす

 今日、朝陽公民館で「歌と健康セミナー」第1回目を開催した。これで、この秋に回る四つの公民館全てで参加者と出会ったことになる。このコロナウイルス騒ぎの中、頑張って出かけてくれるのはありがたい。感染に気をつけながら指導したい。

 セミナーの1番のねらいは、「賢く年を重ねる(スマートエイジング)」ということについて学ぶことだ。合唱を通して、体の使い方を知り、心の持ちようを考え、人生の最後まで自分らしい学びを続ける気持ちを育むことで、素敵な日々を送れるようにしたい。研究室の目指すものはまさにそれだと思う。

 今日は体の使い方を中心にやった。「長生きの七つの秘訣」(扶桑社新書「年を重ねるのが楽しくなる“スマートエイジング”という生き方」参照)の初めの三つは、「有酸素運動」「筋トレ」「脳トレ」とされている。ストレッチやスクワット、壁に背中をつけて姿勢のチェックなどをした。いろいろな講座で良い姿勢のことは扱うと思うが、「もっと背筋を伸ばしましょう」など呼びかけるだけで、自身の体の部分に目を向けて構造を理解して工夫することはあまりない。言われた時は、それなりに気をつけるが、すぐに背中は丸まってくる。いつぞや話した「似て非なる世界」で、「やったつもり」「なんとなく」にしたくない。

 お腹をしっかり伸ばし、ハイチェスト(高く胸を保ち)、鎖骨を開き、顎が出ないようにするなど、注意点はたくさんある。私が大事にしているのは、背中の肩甲骨の横、僧帽筋の内側にある菱形筋(りょうけいきん)だ。両手を万歳するように上げて、次第に肘をまげて直角になるまでゆっくり下ろす。その時、手のひらを外側に回転させると、その菱形筋がしまってくるのがわかる。それを感じ取れたところで、「その筋肉を意識して胸を開いてください」と言うと、いい姿勢になりやすい。他にも、背中の筋肉構造の絵を見せたり、「神父さんがかぶっているフードを後ろに持っていく動作をして」など、いろいろ実感をしてもらうことで、格段に姿勢が良くなる。インナーマッスルは、意識しないと動きがコントロールできない。自分の体は自分で実感し、コントロールできると気持ちいい。自分事、差し手感覚、これまで説明して来たこととここでもつながる。