更府小学校で担任した11人の子どもたちと教科書を超えた学びに挑戦した。6年では、地域の偉大な人物であった三沢勝衛について調べたが、その前提に5年生での米作り体験がある。
先日、実りの秋というのか、テレビニュースで稲刈りの体験をしたという子どもたちのことが紹介された。地域の人が育ててくれた稲を収穫に行くことがニュースになるなら、更府小でやったことは、すごいことだったんだと改めて思い出した。協力してくれた先生方、地域の方に感謝したい。
まだ「総合的な学習の時間」は、指導要領にはなかった時代だが、それに向けて動き出してはいた。5年生で時間をやりくりして、田んぼを作るところから全てやった。校庭の横に空き地があって、以前は校長住宅があったらしい。そこを使う許可をもらって、開墾作業からやった。結構大きな石も出てきて、子どもたちの「大変だった」という作文がまだ残っている。資料として倉庫にあった昔の農具を使って田を起こすなど、歴史も実感させたかった。
別のクラスの子のおじいさんが大変篤農家で詳しいと聞いて、協力をお願いしたら、苗を見せてくれたり、田植えを教えてくれたり、水管理をとても細かく指導してくれた。最後は関係してくれた人をお呼びして学習発表会と感謝の会をやった。6色のおにぎりを作ったと学級通信にあるが、それは保護者の指導で取り組んだものだ。地域に生きる、地域の人と関わって地域の産業の実際を知る、当番で管理し命を育てる…。簡単に説明できることではないが、体験だけでなく、経験とか実践とか言えるレベルへの取り組みを通して、本物に触れていくことが三沢勝衛の言葉に近づけるのではないかと思う。